原田敬子の作曲家としてのキャリアは、幼少時にピアノで即興演奏を 行うことから始まった。桐朋学園大学で作曲を専攻と同時に、ピアノ・室内楽・指揮法を学び、1993年に研究科課程修了。大学以降、作曲を川井學、三善 晃、ブライアン・ファーニホウに、ピアノを間宮芳生、室内楽(クルターク作品)をジョルジ・クルタークに師事した。

‘90年代半ばから「演奏家の、実際の演奏における内的状況を作曲する」というコンセプトで、演奏家の身体と脳の可能性を拡げることで実現される、独自のテンションや時間構造を特色とした作品が多い。また日本の伝統楽器を含んだ挑戦的な作品も多い。
受 賞は作品の編成を問わず、第62回日本音楽コンクール第1位(室内楽)、安田賞、Eナカミチ賞(’93)、山口県知事賞(’95)、芥川作曲賞(2001 管弦楽)、中島健蔵音楽賞(’04 筝独奏作品)、尾高賞(’08 管弦楽)ほか多数。国際的な活動は、国際交流基金、野村国際文化財団、朝日新聞文化財団、日本カナダ基金、外務省、ダルムシュタット(独)、ロワイヨモン (仏)、バルトーク・セミナー(ハンガリー)などによって支援されている。2002年には日米芸術交流プログラムによりニューヨーク市に滞在した。

多くの作品は各国の第一線の音楽祭やアンサンブルに委嘱を受けている。注目すべきは、世界で活躍するソリストによる指名委嘱であり、各国で頻繁に 再演されている。また幾つかの作品は、国際コンクール(演奏)の課題曲である;第3の聴こえない耳II(ドイツ・ヤコビ国際コンクール’04)、 BONE+ (‘09年以来、スペイン国際アラサテコンクールの課題曲)、Labyrinth VI (国際アンサンブル・モデルン・アカデミーのレパートリー)。
個展は1997年以来、演奏会や放送局によって、これまでに約10回に渡り、日本、ベルギー、ドイツ、イタリア等で開催されている。また近年は異分野の芸 術家とのコラボーレションも多い(演劇:宮城聰、映画:吉田喜重、ダンス:日玉浩史、康本雅子、Astad Deboo, Liou-Shaw Lu、花:岡田幸三、空間:トーキョーワンダーサイト他)。

更なる活動として、アンサンブル・マニュファクチュア主宰 (‘89~’99)、東京オペラシティ開館時におけるアンサンブル・ノマド設立(‘97~98)など。’04年~’08年には東京都トーキョーワンダーサ イトの音楽専門アドヴァイザーとして、若手音楽家支援企画や、国際アンサンブル・モデルン・アカデミーin東京を立ち上げた。また’99年以来、サウン ド・ギアの代表として、国際的ネットワークを生かしたアンサンブルを編成し、<舞台芸術としての音楽>として、舞台芸術の専門家の協力の下、新たなスタイ ルの演奏会の企画や、現代日本の音楽の紹介、若手作曲家への教育プログラム等を立ち上げた。これまでに、トロント・オタワ他(カナダ ’01)、利賀村国 際演劇祭(’05)、静岡県舞台芸術センター(‘01~03)、スタンフォード大学、カルフォルニア大学バークレー校(’09)他で実施しており、海外の 公演は国際交流基金の支援の下、行われた。

2011年より東京音楽大学(芸術作曲)准教授。東京芸術大学、桐朋学園大学、静岡音楽館の講師。

作品は、(株)全音出版社、(株)東京コンサーツ、Edition Wunn(独)より出版。自作品CD集は、(株)フォンテックとCypres 社(ベルギー)から発売されている。
 
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